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2007年04月

地球温暖化・環境問題:国際シンポ「海洋生物資源管理の最近の潮流」

 外務省と比較法文化学会は2007年3月27日、東京・港区の三田共用会議所講堂で、国際シンポジウム「海洋生物資源管理の最近の潮流~生態系アプローチの限界と可能性」を開催した。
 このシンポジウムは、海に囲まれた日本の重要産業・漁業にまつわる国際問題を一般の人に理解してもらうために、同省が毎年、比較法文化学会との共催で開催しているもの。

 今回シンポジウムには、研究者、水産業界の関係者、駐日外国大使館、NGO関係者ら約100名が参加。森下丈二・水産庁国際課漁業交渉官、ラルシュ・ワロー・オスロ大学教授、都留康子・東京学芸大学助教授、ローリー・リッジウェイ・「海洋と海洋法に関する国連非公式協議プロセス」共同議長らの「生態系アプローチ(注1)」に関する講演や質疑応答が行われた。

 森下交渉官は講演の中で、「生態系アプローチ」という概念について統一された定義がないこと、「生態系アプローチ」の実施にあたって、管理目標の設定や順応管理(モニタリングを行いながら、結果の変動に合わせて対応を変える管理手法)システムが重要であることを指摘。

 またワロー氏は「生態系アプローチ」を利用したノルウェーによる漁業管理の具体例を紹介したほか、都留助教授は、海洋漁業資源問題をエコシステムの一環として位置づけた「国連公海漁業協定(注2)」の意義を考察した。

 リッジウェイ議長は、海洋と海洋法に関する国連非公式協議プロセス(注3)での議論を紹介しながら、「生態系アプローチ」に関して、「生態系そのものを管理することではなく、生態系が持つ機能をいかに損なわないようにするかを考えることだ」と発言。また、漁業に限定せず、「海洋」というより広い概念で捉えることや、より積極的で、全関係者が参加出来るような生態系管理体制構築の必要性を指摘した。

 質疑応答の場では、「生態系アプローチ」の定義や国連食糧農業機関(FAO)の役割、国連非公式協議プロセスの今後の見通しなどについて意見交換が行われた。【外務省】

(注1)従来の単一魚種管理方式とは異なり、生態系全体を考えようとする海洋生物資源管理の考え方。ただし、森下交渉官の講演での指摘のように、この概念に関して世界的に合意された定義はまだ存在しない。
(注2)タラ・カレイ類など分布範囲が排他的経済水域の内外に存在する魚類資源とマグロ・カツオなどの高度回遊性魚類資源の保存・管理について、国連海洋法条約を踏まえ包括的に規定した協定で、01年に発効している。
(注3)国連海洋法条約は領海、排他的経済水域、海洋環境保護についての国家の権利と義務を規定した条約で、1994年11月の発効。06年6月に開催された同条約の第7回非公式協議プロセスは、05年の国連総会決議「海洋と海洋法」にもとづき、「生態系アプローチと海洋」というテーマを扱い、生態系アプローチの概念や定義などを議論した。

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地球温暖化・環境問題:12の「自然再生事業実施計画」が策定済み 19年3月30日時点の自然再生事業進捗状況

 「自然再生推進法」を所管する国土交通省、農林水産省、環境省の3省は平成19年3月30日、同日現在の自然再生事業進捗状況を公表した。

 「自然再生推進法」では、自然再生事業の実施者が地域住民、NPO、専門家、関係行政機関とともに「自然再生協議会」を組織し、自然再生の対象区域・目標などを定めた「自然再生全体構想」、その実施計画である「自然再生事業実施計画」を作成すべきことを定めている。
 また、主務大臣に毎年、「計画」の作成状況など、自然再生事業の進捗状況を公表することを義務づけている。

 今回の公表内容は、19年3月30日までに12の「自然再生事業実施計画」が作成されていることを示している。

 作成された計画の名称は(1)佐賀県の「樫原湿原地区自然再生事業実施計画(作成日:17年3月31日)」、(2)大阪府の「神於山地区生活環境保全林自然再生事業実施計画(同:17年6月1日)」、(3)北海道の「釧路湿原自然再生事業土砂流入対策(沈砂池)実施計画(雪裡・幌呂地域)(同:18年1月31日)」、(4)同「釧路湿原自然再生事業土砂流入対策(沈砂池)実施計画(南標茶地域)(同:18年1月31日)」、(5)同「釧路湿原達古武地域自然再生事業実施計画(同:18年2月28日)」、(6)同「釧路湿原自然再生事業茅沼地区旧川復元実施計画(同:18年8月1日)」、(7)同「釧路湿原自然再生事業土砂流入対策実施計画[久著呂川](同:18年8月1日)」、(8)同「上サロベツ自然再生事業 農業と湿原の共生に向けた自然再生実施計画(緩衝帯・沈砂池)(同:18年7月13日)」、(9)東京都の野川第一・第二調節池地区自然再生事業実施計画(同:18年10月16日)」、(10)秋田県の「森吉山麓高原自然再生事業実施計画(同:18年10月20日)」、(11)広島県の「八幡湿原自然再生事業実施計画(同:18年10月30日)」、(12)茨城県の「霞ヶ浦田村・沖宿・戸崎地区自然再生事業実施計画[A区間](同:18年11月27日)」。 【環境省】

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地球温暖化・環境問題:PRTRデータ活用ガイドブック作成

 環境省はPRTRデータの平成17年度集計データを踏まえ、PRTRデータについてわかりやすく解説したガイドブック「PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック~平成17年度集計結果から」を作成した。

 PRTR制度では、化学物質の人の健康や生態系への影響(環境リスク)についての情報を、行政・事業者・市民・NGOなどすべての利害関係者に共有可能にし、これらの利害関係者が対等な立場で化学物質対策の議論を行うことを想定している。このため、市民がPRTRデータを理解し、主体的に活用できるような環境づくりは重要な課題となっている。

 このガイドブックは「PRTR制度とは」、「PRTRデータ」、「わたしたち市民にできること」、「もっと知りたい時には」の4章で構成され、PRTR制度やデータの概要、化学物質管理に関して一般市ができることが説明されている。

環境省ホームページから電子ファイル版がダウンロードできるほか、各都道府県のPRTR担当課室などで冊子版の入手が可能。

 また冊子版は、環境省環境健部環境安全課PRTR担当(〒100-8975東京都千代田区霞が関1-2-2)あてに郵送で申し込むこともできる。郵送で申込む場合には、(1)住所、氏名、「PRTR市民ガイドブック○○部希望」という情報とともに、(2)「冊子小包」と明記し、切り込みを入れ、必要な切手(1冊の場合290円分)を貼りつけた角形2号以上の返信用封筒を同封することが必要。ただし、13冊以上申込む場合は、住所、氏名、電話番号、希望部数を明記の上、電子メール(宛先:ehs@env.go.jp)で申し込むこととされている。13冊以上の場合はゆうパック着払いでの送付となる。【環境省】

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地球温暖化・環境問題:26市町村のバイオマスタウン構想

 農林水産省は「バイオマスタウン構想」に新規に構想書を提出した25市町村と構想書を更新した高知県梼原(ゆすはら)町の取組み内容を平成19年3月29日付けで公表した。

 「バイオマスタウン」とは、地域内の幅広い関係者が連携しながら、バイオマスの発生から利用までが効率的なプロセスで結ばれた総合的利活用システムが構築されているか、今後構築が見込まれる地域のこと。

 応募された構想書は「バイオマス・ニッポン総合戦略推進会議事務局」で検討し、「バイオマスタウン」の基準に合致している場合にのみ、内容を公表することになっている。

 今回の公表は18回目にあたり、新規構想書が公表されたのは、北海道の津別町、豊頃(とよころ)町、東川町、青森県鶴田町、岩手県の花巻市、九戸(くのへ)村、秋田県横手市、栃木県那須町、群馬県太田市、千葉県の旭市、大多喜町、静岡県湖西市、新潟県佐渡市、富山県立山町、石川県加賀市、岐阜県白川町、三重県伊賀市、兵庫県宍粟(しそう)市、豊岡市、長崎県対馬市、宮崎県都農(つの)町、鹿児島県のいちき串木野市、志布志(しぶし)市、沖縄県うるま市、宮古島市。

 このうち、兵庫県豊岡市の構想は、地域のバイオマスとして「木質バイオマス燃料化」、「菜種のバイオディーゼル燃料(BDF)化」、「家畜排泄物などの堆肥化」の方法・推進体制を検討するとともに、多様な主体の参加や連携を進め、「コウノトリも住める豊かな環境」づくりをめざすとしている。
 なお、今回の公表により、全国のバイオマスタウン構想公表市町村は90となった。【農林水産省】

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地球温暖化・環境問題:エネルギー起源CO2排出抑制技術

 環境省は2007年度に実施する、エネルギー起源CO2排出抑制技術開発への助成事業について、公募された案件の審査を終え、07年3月30日に採択案件を公表した。

 この助成事業は、基盤的な省エネ・代エネ技術の開発、効果的な温暖化対策技術の実用化・製品化を支援するもので、京都議定書の削減目標達成期間として定められた第1約束期間(08年~12年)の早い段階までに実用化できる基盤的な温暖化対策技術のうち、(1)省エネ対策技術実用化開発分野、(2)再生可能エネルギー導入技術実用化開発分野、(3)都市再生環境モデル技術開発分野、(4)製品化技術開発分野--の4分野の技術を募集していた。募集期間は07年2月2日から3月2日までだった。

 発表内容によると、応募期間中に申請された総計53件の案件中、計14件の採択が内定した。
 分野ごとの内訳は、省エネ対策技術実用化開発分野が2件、再生可能エネルギー導入技術実用化開発分野が7件、都市再生環境モデル技術開発分野が1件、製品化技術開発分野が4件--となっている。【環境省】

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