産業革命以前、空気中の二酸化炭素濃度は、約280ppm前後で安定していましたが、2000年には約370ppmまで増加しており、2100年には1,000ppmを越えることも予想されています。(USAオークリッジ研究所 http://cdiac.esd.ornl.gov)
また、気象庁によれば、世界の地上気温の年平均は、20世紀の100年間に0.6度上がり、1990年代の10年間は、過去1000年で最も気温が高くなっています。日本でも2004年に真夏日の記録が更新され続けたことは記憶に新しいところです。
2000年に「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が公表した排出シナリオ(SRESシナリオ)では、4つのケースで試算されています。
・「高度成長型(A1)シナリオ」 グローバル化・経済の急成長・人口増加・新技術の導入を想定
・「多元化型(A2)シナリオ」 地域ごとの特徴を生かした発展を想定
・「持続発展型(B1)シナリオ」 高効率技術の普及・環境負荷の低減を想定
・「地域共存型(B2)シナリオ」 緩やかな経済成長・多様化の方向を想定
その結果、2100年には、1.4〜5.8度気温が上がり、9〜88cm海面が上昇すると予測しています。
一方で、東京大学気候システム研究センター・国立環境研究所・海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センターの合同研究チームが、世界最大規模のスーパーコンピュータである地球シミュレータを使って、2100年までの地球温暖化の見通し計算を行ったところ、気温は3.3〜5.5℃上昇するとしています。
現在は、研究機関によって様々な数値が発表されているところですが、極端に言えば明日の天気予報が外れるように、気象状況のパラメーターは不確実なものが多いため予想は困難を極めます。しかし、どの研究機関にも共通していることは、「気温は確実に上がり続ける。そして、北半球高緯度の陸上で気温上昇が大きく、降水は熱帯と高緯度で増加し、亜熱帯の乾燥域で減少する。」ということです。
いずれの方向に進むにしても、私たちの今後の行動や社会全体の進む方向によって、大きく結果が変化することだけは間違いありません。
|