地球は、太陽から近過ぎず、しかも遠過ぎず、生命体がその活動を維持できるようなちょうど良いところに位置しています。この太陽からの熱で地球は暖められており、暖められた熱を地球からも赤外線として放出していますが、大気に含まれる水蒸気(H2O)などの温室効果ガスが、この熱を吸収し再度、その一部を地表面や下層大気に戻すという、気温を安定させるための絶妙なメカニズムとなっています。
現在の地球の平均気温は、約15℃ですが、仮に地球上に温室効果ガスがなかったとすれば、平均気温はマイナス18℃となり、人間や他の動植物など現在の生命体が存在できない極寒の星となることでしょう。
この温室効果ガスのおかげで、私たちを始め数多くの動植物が、地球で生命を育み暮らし続けていくことができるのです。
本来、私たちが生きていく上でなくてはならない温暖化ガスですが、1750年ごろから始まった産業革命以来、石油や石炭など地下に封印されていた化石燃料を大量に燃やし続けていることで、大量の二酸化炭素が排出され続けています。
かつて、二酸化炭素は植物や海に吸収されることによって、地球全体としてはバランスがとれていました。しかし、文明の進歩とともに化石燃料の燃焼は増加の一途をたどり、森林伐採による土地利用の変化によって、自然に吸収される量を超える状態になっています。
もっとも、温室効果ガスの中で一番大きな影響を与えているものは水蒸気(H2O)であり、温室効果の75%〜90%を受け持っています。また、気候変動の大きな要因は、この水蒸気の影響や太陽活動、地磁気の影響であり、その割合は80%〜90%と見込まれています。残りの部分を水蒸気以外の温室効果ガス(Green House Gases:GHGs)、つまり、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、フロンなどが占めています。
このため、環境省や一部の環境団体、科学者が主張しているように、単に二酸化炭素の排出量を削減したとしても、温暖化にストップがかかるとは考えられません。また、気温が上がったことによって、海中に溶けていた二酸化炭素が空気中に放出され、その結果として濃度が増えているという研究成果もあります。
つまり「地球温暖化の原因は、現在様々なものが考えられていて、「科学的には、これが絶対というものがない状態。」にもかかわらず、京都議定書での考え方は、科学的判断ではなく「政治的判断」として一つの学説だけを採用し、「二酸化炭素の増加が原因」と言い切っているところに大きな問題があります。
マスコミの主張も環境省の考えと同じく、「地球温暖化の原因となっている二酸化炭素を減らそう」という内容で一致していますが、先に述べたように「地球温暖化の原因=二酸化炭素」と言い切ってしまうのは大きな間違いなのです。
しかし、「二酸化炭素自体は、他の温室効果ガスに比べて影響を与える度合い(地球温暖化係数)は低いのですが、その排出量が多いため、人為的に排出されるガスの中では現在一番影響を与えている。」ことや「二酸化炭素の排出量は増え続けているが、人間の様々な活動を見直すことによって、これを削減することは可能。」ということは事実です。
つまり、二酸化炭素は人間がコントロール可能な温室効果ガスということです。私たちは、京都議定書の発効をきっかけとして、大量消費社会から省資源・省エネルギー社会への方向転換を行っていきたいものです。
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