太陽光発電については、ソーラーパネルを生産し、設置するエネルギーと太陽光発電で取り出すエ
ネルギーを比較する必要がありますが、安井至教授(東京大学生産技術研究所)のLCA試算では、大規模な架台をコンクリートや鉄骨で造らずに、屋根の上に設置するなら15〜20年スパンで見るとCO2削減に貢献するとしています。
また、(財)電力中央研究所のLCAデーターでは、3KWの屋根設置型で主に生産時に53gCO2を発生させるとしていますが(電中研レビュー第45号2001.11)、生産に関しての効率化が年々進んでいることや発電効率が高まっていることから、ますます効率的にCO2削減に貢献していくことでしょう。
唯一の難点は、(財)新エネルギー財団や一部の自治体で補助金が出るとはいえ、一般の人が簡単に手
が届く金額ではないというところでしょう。以前に比べると設置費用は格段に安くなっており、メー
カー間の競争も厳しいことから、今後、性能は上がり、価格はさらに下がると予想できます。
4人家族程度の家庭では、3〜4KWのシステムが必要になってきます。これが安く設置できるようにな
れば、ますます普及に弾みが出るでしょう。
ドイツでは、「再生可能エネルギー法」が2000年にでき、太陽光、風力、バイオマスなど再生可能な
エネルギーで発電される電気の買取を電力会社に義務付けています。その後、より普及を推進する方
向で改正され、発電内容によって異なりますが、太陽エネルギーによる電力買取価格は1KW当たり、45.7セント=約60円(2002年以降5%ずつ減少)となっています。この結果、太陽光発電など資源を利用しない発電が大幅に普及しています。
日本においても、2003年4月1日から「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」
(通称RPS法)施行されましたが、実態としては、余剰電力の買取価格は電力会社が決定しているこ
とや、RPS法の代行申請(環境価値の電力会社への転換)に応じない場合は、余剰電力の買取を拒否あ
るいは非常に低い単価での買取価格とするなど、法の趣旨を逸脱したような運用がなされている問題
があります。
この結果、買取価格は電力料金単価と同等(20数円程度)となっており、ドイツと比べるとかなりの
開きがあります。もっとも、日本の太陽光発電システムの普及は世界でトップですが、RPS法が趣旨どおり運用されれば、一層の普及が進むことでしょう。
ソーラー発電を利用した身近なものとしては、次のようなものがあります。これらは、環境にやさしいだけでなく、地震などの災害で電気が止まってしまったときにも役に立ちそうです。
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