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地球温暖化のメカニズム
地球温暖化の原因防止対策の京都議定書の初年度は未達成
環境省は10日、京都議定書の初年度に当たる2008年度の温室効果ガス国内排出量(速報値)をまとめた。二酸化炭素(CO2)換算で12億8600万トンで、議定書の基準年(CO2は1990年度)比で1.9%増加。議定書は08~12年度の5年間、年平均6%の削減を日本に義務付け、このうち5.4%は森林によるCO2吸収や海外からの排出枠調達によって削減する計画だが、初年度は目標達成に2.5ポイント届かなかった計算だ。08年度の排出量は、前年度(13億7100万トン)比では6.2ポイント低下。世界的な金融危機に端を発した景気後退により、製造業でのエネルギー消費が減少したためとみられている。
京都議定書に盛り込まれた温室効果ガスの削減目標は、単なる努力目標ではなく、条約に基づいた国際公約。日本に割り当てられた「1990年比6%削減」を履行できなければ、外国からの信頼を一挙に失い、国際社会での発言力も著しく低下する可能性が高い。米国が京都議定書から離脱したのも、履行できない約束はしないというクールな判断に基づいている。日本は京都議定書を取りまとめた立場だけに、目標達成の責任は最も重い。目標期限(2012年)が迫った今、6%削減の達成に向けたあらゆる努力が必要だ。政府が決めた計画によれば、日本の削減目標6%のうち、省エネの推進などで人為的な温室効果ガスの排出量を減らして達成するのは0.6%分しかない。残り5.4%のうち、「森林吸収」で3.8%を賄い、経済的手法によって外国の排出削減分を自国分としてカウントする「京都メカニズム」で1.6%分を調達する。森林吸収分は新たに植林する必要があるわけではなく、現存する森林を適切に管理することで達成する計画だ。一方、日本では90年以降、エネルギー消費による二酸化炭素排出が大幅に伸びており、省エネでの削減は0.6%でも相当に厳しいのが事実。このため、6%削減を実現する上で、「京都メカニズム」活用の重要性が高まっている。京都メカニズムは(1)クリーン開発メカニズム(CDM)(2)共同実施(JI)(3)国際排出量取引(IET)の3種類がある。CDMは、温室効果ガスの排出削減義務のない発展途上国で行う省エネ事業に、先進国が資金や技術を供与した場合、その事業によって削減された量を先進国の目標達成分にカウントできる仕組み。省エネの進んでいない途上国への支援にもなるが、プロジェクトのスタートから削減結果が確認できるまで短くても3-5年掛かる。JIは、CDMを先進国間で行うスキームのこと。既に省エネが進んでいる日本ではさらなる二酸化炭素削減に大きなコストが掛かる。削減義務のある国の中でも、ロシアや東欧諸国はあまりコストを掛けずに省エネが可能なので、日本国内で同じ事業をするより資金を出した方が得。ただし、結果確認まで時間が掛る点はCDMと変わらない。国際排出量取引は、ある先進国が目標よりも多く削減できる場合、超過分の排出枠を他国に有償譲渡できる仕組み。譲渡は削減義務のある先進国間でしかできない。日本は自国内で省エネを進めるより、他国から排出枠を買った方が安上がりだが、この制度を多用しすぎると地球温暖化防止への努力が足りないと批判を受ける可能性もある。日本政府は、6%削減達成に向け、京都メカニズムによって2012年度までに約1億トンの排出枠を調達する計画。それに必要な費用として、4000億円程度を国が負担する見通しだ。国内排出量取引は、国内の施設(企業)間で排出枠を売買する仕組みのこと。京都メカニズムの国際排出量取引とは違い、国内での省エネ推進を促すのが目的だ。EU(欧州連合)では2005年1月から加盟25カ国を対象に制度をスタートさせた。鉄鋼、セメント、石油精製などのエネルギー多消費施設と発電所(約1万2000施設)を対象に、各国政府の配分計画に基づいた二酸化炭素の排出枠を交付する。各施設は政府からの交付枠いっぱいまで二酸化炭素を排出できるが、それを超えた場合は罰金を支払わなければならない。省エネに成功して交付枠よりも排出量を減らすことができた施設は、余剰枠を売りに出すことができる。省エネがうまくいかなかったり、生産量が増えたりして二酸化炭素排出量が交付枠以上になりそうな施設は、他の施設の余剰枠を買い取ることで罰金を逃れることができる。企業の競争を促す形になり、省エネが進みやすいというメリットがある。また、最初に政府が上限を決めて排出を規制するので、二酸化炭素の削減目標を達成する上で有効な仕組みだが、企業の経済活動抑制につながる可能性もあり、上限の設定の仕方が難しい。
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