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地球温暖化のメカニズム

経営者が自社のCO2排出量を把握し、CO2価格を意識するようになった

 環境省は2007年6月15日、経済産業省や日本経済団体連合会とともに実施した、EU域内排出量取引制度(EU-ETS)に関する調査報告書を公表した。
この報告書は、07年4月に環境省、経産省、日本経団連が行った、欧州委員会、英国政府(環境・食糧・地域省など)、産業界(欧州経営者連盟など)、環境NGO(WWF、CAN欧州など)、市場関係者(排出量取引コンサルタント)、研究機関(欧州政策研究機構)に対する、EU-ETSについてのインタビューの内容をまとめたもの。
 EU-ETSは、EU加盟25か国のエネルギー多消費施設(約1万2,000施設)を対象とした取引制度。各加盟国は、EU委員会の承認を受けた排出枠国家配分計画にもとづき、対象施設に排出初期枠を割当(注1)。対象施設には各年終了後に、排出量と同量の排出枠を政府に提出する義務が課せられ、この義務を果たすために排出枠
取引を行う必要がある(注2)。05年1月にスタートし、現在、第1期(05~07年)終了と、第2期(08~12年)開始をにらんで、制度の見直しが行われている。
 今回のインタビューで話題にのぼったテーマは、排出量制度の意義・効果、排出枠割当の公平性、国際競争力への影響、投資・技術開発との関係、取引市場参加者の性格、市場の成熟性、排出枠価格の変動性、排出量モニタリングなどの行政コスト、排出枠割当の公平性を巡る訴訟--など。
 第1期の効果としては、「排出枠の過剰割当により価格が不安定化。市場が破綻し、排出削減効果も小さかった」という評価が英国政府、CAN欧州、WWF、英国卸電気事業連合、欧州経団連などから示されている。
 課題としては公平な割当の困難さをあげる声が多く(注3)、「各国ごとに異なる排出枠割当方法の整合化、割当の公平性・信頼性・透明性の確保」の必要性が、英国政府、英国卸電気事業連合、英国産業連盟、WWF英国、欧州政策研究機構などから指摘されていた。
 一方で「市場原理を利用して最小コストで排出削減目標を達成できる(英国卸電気事業連合、英国政府)」、「経営者が自社のCO2排出量を把握し、CO2価格を意識するようになった(国際排出量取引協会)」など、EU-ETSのプラス面を指摘する声も報告されている。【環境省】

(注1)排出枠割当方法はそれぞれの国に任されているため、国によって異なっている。
(注2)排出量が初期排出枠を超過した施設は、排出枠に余裕のある施設から排出枠を購入することになる。
(注3)欧州委員会へのインタビューでは、割当の公平性を巡り、企業が各国政府を提訴した事例が多発(EU全体で約800件)していることが示されている。




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