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地球温暖化のメカニズム
地球温暖化・環境問題:副生HCBの最良削減可能レベルを示す第2次報告書
工業原料として使用されているテトラクロロ無水フタル酸(TCPA)を合成する際に、化審法の第1種特定化学物質(注1)であるヘキサクロロベンゼン(HCB)が副生することが判明した件に関連し、環境省、経済産業省、厚生労働省が設置した評価委員会は、「ソルベントレッド135以外のTCPAを原料とする顔料」、「ピグメントブルー15を塩素化して得られる顔料」に含有される副生HCBの工業技術的・経済的に実現可能な最良の削減可能レベル(注2)を検討した報告書を、草案に対する意見募集結果も踏まえて、平成19年4月12日までにまとめた。
評価委員会は、18年2月にTCPA合成時にHCBが副生された事例が報告されたことに対応し、18年11月にTCPAと、これを原料とする顔料「ソルベントレッド135」中の副生HCBの削減レベルに関する報告書(注3)を取りまとめ済み。
今回の報告書は、18年11月の報告書で染料・顔料中のHCB最良削減可能レベルとされた10ppmを超えてHCBを含有する「ソルベントレッド135以外のTCPAを原料とする顔料」、および18年3月に副生HCB含有が判明した「ピグメントブルー15を塩素化して得られる顔料」について、HCB最良削減可能レベルを改めて検討した第2次報告にあたる。
検討結果として、(1)削減のための知見が十分ではない、PY138以外の全てのTCPA由来顔料について「10ppm」をHCB最良削減可能レベルとすることを改めて提言するとともに、PY138についての検討を継続すべきと提言。また、(2)ピグメントブルー15を塩素化して得られる顔料中のHCB最良削減可能レベルについては、PG36のHCB最良削減可能レベルを10ppmとすることを提案する一方、HCB含有量のばらつきが大きいPG7はHCB最良削減可能レベルの値を特定せず、検討を継続するとした。
なお、19年2月8日から3月9日まで実施された、この報告書の草案に対する意見募集では、24件の意見が寄せられた。
意見にたとえば、「(俎上にのぼっている)全物質について期限を決めて代替品を開発し、将来的にはダイオキシン類やHCB発生源となる化学物質の製造・販売・使用を削減・禁止すべき」という内容があり、この意見に対しては、「ある化学物質の製造に際して第一種特定化学物質の副生が不可避な場合に、可能であれば代替化を進めることが望ましいことは報告書案にも示されている。しかし、今回の検討対象となった各顔料については、いずれも耐候性などの性能を満足する代替品が無い状況であるため、『BAT』に基づく対応をとることにした」という考え方が示されている。
(注1)化審法の第1種特定化学物質は「難分解性」、「高濃縮性」、「人に対する長期毒性または高次補食動物への生態毒性」--の3種の有害性をあわせ持つ物質とされており、この指定を受けた物質は製造、輸入が原則禁止され、使用用途も制限されている。
(注2)化審法では、化学物質製造時に第1種特定化学物質の副生が避けられない場合に、「利用可能な最良の技術(POPs条約でいうBAT:Best Available Technology)」を適用し、工業技術的・経済的に可能なレベル」まで低減すべきという考えを採用している。
(注3)この報告は、TCPAに含有される副生HCBの最良削減可能レベルを200ppmとしたほか、TCPAを利用して製造されるソルベントレッド135などの染料・顔料中のHCB最良削減可能レベルを10ppmとしている。
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